SPICY CHOCOLATEがクリエイトした楽曲、とりわけラヴ・ソングには数々のフィーチャリング・アーティストが迎えられ、その作品を色とりどりな形で彩ってきた。 その意味では、コレボレーションやコンビネーションという、誰かと組むからこそ生まれる、化学反応によって生まれた音楽であるとも言えるだろう。



「やっぱり、一緒にコラボレーションするからこそ、コラボする相手が今までに出してこなかった魅力を僕らが引き出したいっていう気持ちと一緒に、 僕らが今まで出せていなかった引き出しも開けて欲しいっていう気持ちがありますね。それがコラボレーションする意味だと思う」



今作に収録されている中でも、清水翔太や加藤ミリヤ、宇野実彩子 (AAA)、そして西内まりやといったヴォーカリストが作品に花を添えているが、 その中でも大橋卓弥 (スキマスイッチ) と奇妙礼太郎という、非常に意外性の高い組み合わせによって作られた“ミスキャスト”は、 本人にとっても刺激的な経験だったと話す。



「コラボレーションでアーティストを迎える時は、そのアーティストの音源は勿論、ライヴも拝見したり、相手をちゃんと知ってからアプローチするようにしてますね。 こちらで歌詞を提示する場合に加えて、一緒に共作の形で歌詞を書いて貰うことがあるので、一緒に世界観を作るには、それにはその人の人間を知らないとなって。 そういったコラボの中でも、それまでのSPICY CHOCOLATEの世界から一番遠くまで行ったのは“ミスキャスト”でしたね。 大橋さんと奇妙さんと一緒に楽曲を制作するというのは、やっぱり自分でも驚きました(笑)。 でも、本当に音楽性の高い楽曲が形に出来たと思うし、曲の作り方から世界観まで、広げられた、掘り下げてもらえた曲だと思いますね。 ナオト・インティライミさん、安田レイさんと作った“同じ空”も本当に驚きましたね。 ナオトさんのレコーディングは本当に神がかっていて、曲に魂が入る瞬間を感じて、それはすごい経験でした」



また、レゲエ・サイドからはHAN-KUNやSHOCK EYE、寿君、ヒップホップ・サイドからはAK-69やSKY-HI、SALU、SIMONなどが参加。 イヴェントやダンスなど、「Spicy Chocolateの現場」と直結するアーティストとのコラボも一つの醍醐味だ。



「そういったアーティストにも、定着しているスタイルとはちょっと違うものを求める部分もありますね。 それは無茶ぶりも含めて。 近しいアーティストには無茶振り出来るんですよ、僕らのほうが先輩なんで(笑)。 サウンドに関しても、聴感はポップではあるけども、低音はちゃんと響くような構成にしたり、随所にレゲエ的なアプローチは入れてますね。 それが無いと、やっぱり自分のキャリアや、現場と通じた作品作りにならない。 だから、こういったポップな楽曲、ラヴ・ソングで興味を持ってくれた人が、レゲエにもちゃんと興味を持ってくれるようなサウンドづくりは考えているし、 それがSPICY CHOCOLATEのやるべきことなのかなって。 ただ、どんな曲に関しても、当然だけど、どうすればいい作品をどうやったら作れるか、グッド・ミュージックを作るかを考えていますね」



今回のベスト盤は、「告白」をテーマにした“君のことが好きだったんだ feat. BENI, Shuta Sueyoshi (AAA) & HAN-KUN”から始まる。 「純愛」をテーマにしたアルバムが、その気持ちをまず伝える「告白」を入り口に始まる構成も興味深い。



「今まで『告白』っていうテーマは無かったんで、それをテーマにした、ストレートに愛をぶつけにいくようなラヴ・ソングを作りたかったんですよね。 「純愛」をテーマにしたベストの入り口は、それが相応しいのかなって」






その意味でもやや気恥ずかしくなるぐらいの、真っ直ぐで熱い気持ちと、しかしそこに踏み出すまでに思い悩んでしまう心中など、様々な感情が込められた楽曲になっている。



「自分にとっての『告白』はもう何十年も前の経験だけど、振り返ると確かにこういう気持ちだったのかなと思うし、 その気持ちはいまの若い世代も持ってると思うんですよね。 だから、この気持ちはスゴく普遍的なものなのかなって。 若いリスナーにはその気持ちを押すような曲になればいいし、大人のリスナーには、その気持ちを思い出すような楽曲にしたかった」



それにはやはり「純愛」がキーワードになったと話す。



「いまの世の中、不倫だったりドロドロした色恋が話題になりがちだから、僕らは逆に、純粋でピュアな気持ちを形にして、 『そっちの方が本当は素敵だよ』って事を提示したかったんですよね。 その方が心も洗われると思うんです。 確かに、僕も20代の頃は愛っていう言葉を出すのは、恥ずかしい気持ちもあって。 でも、そこから年を重ねて、『愛って本当に大切な事なんじゃないの?』って気付かされる経験もあったし、 いまの子供達に明るい未来を歩ませるためには、どうしたらいいかを考えたら、やっぱり『真っ直ぐな純愛』を形にするのが、 僕らにとっては正しいことだと思ったんですよね」



そして、その楽曲を共に作ったのは、初のコラボレーションとなるBENIとShuta Sueyoshi (AAA)、これまでに数々の作品でコラボを展開したHAN-KUNが参加している。



「BENIちゃんとはずっと一緒に曲を作りたいと思って、何度かアプローチしてたんですが、今までタイミングが合わなくて。 それが今回やっと実現したんですよね。そして、彼女とコンビネーションを組むとしたら、声質的に末吉くんが浮かんで。 レゲエのテイストをそこに加えるとしたら、やっぱりHAN-KUN。 この3人のスケジュールが合ったのは奇跡だとも思ったし、非常に魅力的な楽曲になったと思いますね」



「渋谷純愛物語」三部作を完成させ、このベスト盤で一つの決着を付けたSPICY CHOCOLATE。



「これからは、まず10代から60代まで受け入れられるような作品をどう作っていけるかっていうのを考えていますね。 その意味でも、より幅を考えないといけないのかなって。 加えて、世界中の色んなフェスやイヴェントにDJ/セレクターとして参加したいと思ってるし、そこで培ったアプローチを、更に楽曲制作にも込められればと思いますね」







高木 "JET" 晋一郎◇TAKAGI "JET" Shin-ichiro